既存衣装のフィッティング実践ガイド¶
ガイド情報
所要時間: 約90分 | 難易度: 初心者向け | 重要度: 必須(初回成功体験)
このページの目的: あなたが持っているPZIP衣装ファイルを読み込み、アバターに合わせてフィッティングを行い、最初の成功体験を得ます。
このガイドで得られること
- ✅ 確実な初回成功体験
- ✅ Marvelous Designerの基本操作の理解
- ✅ VRChatで実際に使える衣装の完成
- ✅ 次のステップへの自信
事前準備
- アバターの読み込みが完了済み
- 衣装のPZIPファイル(またはZIPファイル)を持っている
- Marvelous Designerにアバターが正常に表示されている
🎯 学習の流れ¶
段階的アプローチ: 1. 理解: PZIPファイルとは何か 2. 実践: ファイル読み込みとフィッティング 3. 調整: サイズとフィット感の最適化 4. 完成: VRChat用エクスポート
📁 PZIPファイルについて¶
PZIPファイルとは?¶
PZIPファイルの基礎知識
PZIP = Marvelous Designer専用の衣装ファイル
- 衣装のパターン(型紙)が保存されている
- 縫い線や物理設定も含まれている
- 他の人が作った衣装を簡単に利用できる
- VRChat衣装制作の強力な出発点
含まれている情報: - ✅ パターンデータ: 衣装の型紙 - ✅ 縫製情報: どの部分を縫い合わせるか - ✅ 物理設定: 布の硬さ、重さなど - ✅ レイアウト: パターンの配置
🚀 実践:PZIPファイルの読み込み¶
ステップ 1: ファイル準備¶
ステップ 1-1: ファイルの確認と整理
作業前の準備: 1. PZIPファイルを「VRChat衣装制作/Garments/」フォルダに配置 2. ファイル名を確認(英数字推奨) 3. ファイルが破損していないことを確認
推奨ファイル名例:
- ✅ dress_summer_v2.pzip
- ✅ casual_outfit.pzip
- ❌ 可愛いドレス.pzip
(日本語は避ける)
ステップ 2: Marvelous Designerでの読み込み¶
ステップ 2-1: PZIPファイルのインポート
基本的な読み込み手順: 1. Marvelous Designerでアバターが読み込まれたプロジェクトを開く 2. 「File」 → 「Import」 → 「Garment」 を選択 3. PZIPファイルを選択して 「開く」 をクリック 4. インポートが完了するまで待機(30秒〜1分程度)
読み込み成功の確認: - 2Dパターンウィンドウにパターンが表示される - Object Browserに衣装名が追加される - まだシミュレーションは実行しない
複数のPZIPファイルがある場合
最初は1つのファイルで練習しましょう。複数同時読み込みは慣れてからがお勧めです。
ステップ 3: 初回シミュレーション実行¶
ステップ 3-1: そのままシミュレーションしてみる
まずは現状確認から: 1. スペースキー を押してシミュレーション開始 2. 衣装がアバターに着せられる様子を観察 3. どのような問題があるかを確認 4. スペースキー でシミュレーション停止
よく見られる初期状態: - 😊 運が良い場合: ほぼ完璧にフィット - 😐 一般的な場合: サイズが合わない・浮いている - 😅 調整が必要な場合: 大幅にサイズが違う・重なっている
完璧でなくても大丈夫
最初から完璧にフィットすることは珍しいです。これから調整していきます。
🔧 フィッティング調整の実践¶
ステップ 4: サイズ調整¶
ステップ 4-1: 全体的なサイズ調整
アバターとのサイズ差が大きい場合の対処:
方法1: パターン全体のスケール調整 1. 「Ctrl + A」 で全てのパターンを選択 2. 「Edit」 → 「Transform」 → 「Scale」 3. 数値を調整(例:0.9で10%縮小、1.1で10%拡大) 4. 「Apply」 をクリック
方法2: 個別パターンの調整 1. 調整が必要なパターンを個別に選択 2. パターンの角を2Dパターンウィンドウでドラッグ 3. 微調整を行う
調整の目安: - 衣装がアバターの体から1-3cm程度離れている状態が理想 - きつすぎると貫通、緩すぎると不自然に浮く
ステップ 4-2: 部分的な調整
特定部位の調整(胸部、ウエスト、裾など):
胸部のフィット調整: 1. 胸部に関連するパターンを選択 2. 「Edit Pattern」 ツールで形状を微調整 3. 縫い線(赤い線)は変更しないよう注意
袖の長さ調整: 1. 袖のパターンを選択 2. 裾部分を選択してドラッグで調整 3. 左右の袖を同じように調整
ステップ 5: 位置調整¶
ステップ 5-1: パターンの初期位置設定
アバター周辺への配置: 1. 「3D Garment」 → 「Reset 2D Arrangement」 2. パターンがアバター周辺に自動配置される 3. 必要に応じて手動で位置を微調整
手動配置のコツ: - 胴体部分のパターンはアバターの正面・背面に - 袖は左右の腕の近くに - スカート部分は腰の周辺に
ステップ 6: 縫製と最終調整¶
ステップ 6-1: 自動縫製の実行
縫い線の確認と実行: 1. 赤い線(Internal Line)が縫い線であることを確認 2. 「2D Pattern」 → 「Free Sew」 をクリック 3. 自動的に縫製が実行される 4. エラーが出た場合は、該当箇所を確認
ステップ 6-2: 最終シミュレーション
完成状態の確認: 1. スペースキー でシミュレーション開始 2. アバターが動いた時の衣装の動きを確認 3. 不自然な部分があれば一時停止して調整 4. 満足のいく結果になるまで調整を繰り返す
🎨 品質向上のための調整¶
物理設定の最適化¶
布の特性調整
VRChatに適した設定: 1. パターンを選択してProperty Editorを確認 2. 「Physical Property」 を調整: - Fabric Preset: Cotton(綿)が無難 - Particle Distance: 5-10(品質と処理速度のバランス) - Bend: 0.1-0.5(布の硬さ)
調整の指針: - VRChatでは軽量化が重要 - リアルすぎる物理は避ける - 安定した動作を優先
見た目の調整¶
色とテクスチャの設定
基本的な見た目調整: 1. パターンを選択してProperty Editor確認 2. 「Color」 で基本色を設定 3. 「Opacity」 で透明度調整(必要に応じて)
テクスチャの適用(応用): - 後の段階でUnityで詳細なテクスチャを設定 - Marvelous Designer段階では基本色のみで十分
📤 VRChat用エクスポート¶
ステップ 7: FBX形式でのエクスポート¶
ステップ 7-1: エクスポート設定
VRChat用の最適なエクスポート: 1. 満足のいくフィット状態でシミュレーション停止 2. 「File」 → 「Export」 → 「FBX」 を選択 3. エクスポート設定: - Scale: 1.0 - Format: FBX 2020 - Include Avatar: チェックを外す(アバターは別途)
保存場所: - 「VRChat衣装制作/Exports/」フォルダ内 - わかりやすいファイル名を設定
✅ 成功の確認¶
フィッティング成功チェックリスト
基本項目: - [ ] PZIPファイルが正常に読み込めた - [ ] アバターに適切にフィットしている - [ ] 不自然な貫通や浮きがない - [ ] シミュレーションが安定して実行される - [ ] FBX形式でエクスポートできた
品質項目: - [ ] 衣装の動きが自然 - [ ] アバターの動作を阻害しない - [ ] VRChatでの使用に適した軽量さ - [ ] 見た目が満足のいく状態
🔧 トラブルシューティング¶
よくある問題と解決策¶
「PZIPファイルが開けない」
対処法:
- ファイル形式の確認:
- 拡張子が.pzipまたは.zipか確認
-
ファイルが破損していないか確認
-
インポート方法の再確認:
- File → Import → Garment の順で選択
- 単純なFile → Open ではない
「衣装が表示されない」
対処法:
- Object Browserの確認:
- Garments セクションに衣装名があるか確認
-
👁️アイコンで表示/非表示を切り替え
-
シミュレーション実行:
- スペースキーでシミュレーション開始
- パターンが3D化されていない可能性
「衣装がアバターを貫通する」
対処法:
- サイズ調整:
- パターンを選択して拡大
-
Transform → Scale で全体調整
-
Collision設定:
- Avatar → Edit Avatar → Collision
- アバターの当たり判定を調整
「フィット感が悪い」
対処法:
- 部分的調整:
- 問題のある部分のパターンを個別調整
-
Edit Pattern ツールで形状修正
-
段階的調整:
- 一度に全てを完璧にしようとせず
- 大まかな調整 → 細部調整の順で進める
🌟 次のステップ¶
おめでとうございます!初回の衣装フィッティングが完了しました。
達成したこと: - ✅ 既存衣装の活用方法をマスター - ✅ Marvelous Designerの基本操作を習得 - ✅ VRChat用の衣装エクスポートを体験
次の学習選択肢:
-
Unity統合に進む (推奨) Unity統合とVRChatアップロード →
-
オリジナル衣装制作に挑戦 Tシャツ制作ガイド →
-
物理設定を詳しく学ぶ 衣装物理学・ダイナミクス設定 →
📚 学んだスキルの確認¶
このガイドで習得したスキル:
- ファイル管理: PZIPファイルの扱い方
- 基本操作: インポート、シミュレーション、エクスポート
- 調整技術: サイズ、位置、フィット感の調整
- 品質管理: VRChatに適した設定
- 問題解決: 基本的なトラブルシューティング
初回成功体験達成!
素晴らしい成果です!この経験を基に、より高度な衣装制作に挑戦していきましょう。不明な点があれば、いつでもよくある問題と対処法を参照してください。
💡 応用のヒント¶
複数衣装の組み合わせ¶
- トップス + ボトムスの組み合わせ
- 衣装 + アクセサリーの重ね着
- レイヤードスタイルの作成
季節や用途別の調整¶
- 夏服: 軽やかな布の設定
- 冬服: 重厚な布の設定
- フォーマル: きちんとしたフィット
- カジュアル: リラックスしたフィット
これらの応用技術は、基本をマスターしてから挑戦しましょう!