Unity統合プロジェクト設定ガイド¶
ガイド情報
所要時間: 約60分 | 難易度: 初心者向け | 重要度: 必須(VRChat実用化)
このページの目的: Marvelous Designerで制作した衣装をUnityに統合し、VRChatアバターとして使用するための基盤を構築します。
このガイドで実現すること
- ✅ 制作した衣装をVRChatで実際に着用可能に
- ✅ Unity + VRChat SDK3での実践的な作業体験
- ✅ アバター制作の完全なワークフロー理解
- ✅ 自分だけのカスタムアバターの完成
事前準備
- Unity・VRChat SDK設定が完了済み
- Marvelous Designerで衣装(Tシャツなど)を制作済み
- 衣装がFBX形式でエクスポート済み
- VRChatアカウントでログイン可能
🎯 統合の全体像¶
ワークフロー概要¶
Marvelous Designer → Unity → VRChat の流れ
1. Marvelous Designer段階(完了済み) - アバター読み込み - 衣装制作・フィッティング - FBX形式エクスポート
2. Unity統合段階(今回実施) - プロジェクト設定 - アバターと衣装の統合 - VRChat SDK3設定
3. VRChat展開段階(次のステップ) - ビルド・テスト - アップロード・公開 - VRChat内での確認
🚀 ステップ1: Unity プロジェクト準備¶
VCCプロジェクトの確認¶
ステップ 1-1: プロジェクト状況確認
既存プロジェクトの確認: 1. VRChat Creator Companion を起動 2. 以前作成したプロジェクト「VRChat衣装制作プロジェクト」を確認 3. 「Open Project」 をクリックしてUnityで開く
新規プロジェクト作成の場合: 1. VCCで 「Create New Project」 → 「Avatar」 選択 2. プロジェクト名: 「VRChat_Garment_Integration」 3. 保存場所: 「VRChat衣装制作/UnityProjects/」フォルダ
ステップ 1-2: プロジェクト構造の整理
フォルダ構造の作成:
Projectウィンドウで以下のフォルダを作成:
Assets/
├── Avatars/ (元のアバターFBX)
├── Garments/ (MD制作衣装FBX)
├── Materials/ (マテリアル)
├── Textures/ (テクスチャ)
├── Scenes/ (作業シーン)
└── Prefabs/ (完成アバタープレファブ)
フォルダ作成方法: 1. Projectウィンドウで右クリック 2. 「Create」 → 「Folder」 3. 各フォルダ名を入力
📁 ステップ2: ファイルのインポート¶
アバターファイルのインポート¶
ステップ 2-1: 元アバターの読み込み
オリジナルアバター(FBX)のインポート: 1. エクスプローラーで元のアバターFBXファイルを選択 2. Unity の 「Assets/Avatars/」 フォルダにドラッグ&ドロップ 3. インポート完了まで待機(30秒〜1分程度)
インポート設定の確認: 1. インポートされたFBXファイルを選択 2. Inspector でインポート設定を確認: - 「Rig」 タブ: Animation Type が 「Humanoid」 - 「Materials」 タブ: Extract Materials が適切に設定
ステップ 2-2: 衣装ファイルのインポート
Marvelous Designer制作衣装のインポート: 1. MDでエクスポートした衣装FBXファイルを選択 2. Unity の 「Assets/Garments/」 フォルダにドラッグ&ドロップ 3. インポート設定で以下を確認: - Scale Factor: 1 - Convert Units: チェック - Import Materials: チェック
ファイルパスの注意
日本語やスペースを含むパスは避けてください。エラーの原因となります。
テクスチャとマテリアルの処理¶
ステップ 2-3: テクスチャの整理
テクスチャファイルの確認: 1. インポートした際に自動生成された 「Materials」 と 「Textures」 を確認 2. 自動生成されたファイルを適切なフォルダに移動 3. 不要なテクスチャは削除して整理
マテリアル設定の基本調整: 1. 「Assets/Materials/」 内のマテリアルファイルを選択 2. Inspector で以下を確認・調整: - Shader: Standard または VRChat対応シェーダー - Albedo: 基本色の設定 - Rendering Mode: Opaque(不透明)が基本
🎭 ステップ3: シーンでの統合作業¶
シーンの準備¶
ステップ 3-1: 作業シーンの設定
新規シーンの作成: 1. 「File」 → 「New Scene」 → 「Basic (Built-in)」 2. 「File」 → 「Save As」 で「AvatarSetup」として保存 3. 保存場所: 「Assets/Scenes/」
シーン内のセットアップ: 1. 不要なデフォルトオブジェクトを削除(Main Camera以外) 2. Main Camera の位置を調整(アバターが見やすい位置) 3. 「Window」 → 「Lighting」 → 「Settings」 でライティング調整
アバターの配置と統合¶
ステップ 3-2: アバターの配置
元アバターの配置: 1. 「Assets/Avatars/」 からアバターFBXをシーンにドラッグ&ドロップ 2. Transformで位置を原点(0, 0, 0)に設定 3. アバターが正しく表示されることを確認
衣装の配置: 1. 「Assets/Garments/」 から衣装FBXをシーンにドラッグ&ドロップ 2. アバターと同じ位置(0, 0, 0)に配置 3. 衣装がアバターに重なるように表示されることを確認
ステップ 3-3: オブジェクト階層の構築
適切な親子関係の設定: 1. Hierarchy でアバターのルートオブジェクトを選択 2. 衣装オブジェクトをアバターの子オブジェクトとして配置: - 衣装をドラッグしてアバターの下にドロップ 3. 階層構造例:
⚙️ ステップ4: VRChat SDK3 設定¶
Avatar Descriptorの設定¶
ステップ 4-1: VRChat Avatar Descriptorの追加
Avatar Descriptorコンポーネントの追加: 1. Hierarchyでアバターのルートオブジェクトを選択 2. Inspector で 「Add Component」 をクリック 3. 「VRC Avatar Descriptor」 を検索して追加
基本設定の入力: 1. View Position の設定: - アバターの目の位置にViewボール(緑の球)を移動 - X: 0, Y: 1.6〜1.8, Z: 0 程度が一般的 2. Lip Sync の設定: - 「Jaw Bone」 を設定(通常は頭のボーン)
ステップ 4-2: アバターレイヤーの設定
Playable Layersの基本設定: 1. 「VRChat SDK」 → 「Show Control Panel」 2. Control Panelで 「Builder」 タブを選択 3. 基本的にはデフォルト設定のままで OK
Expression ParametersとMenu(オプション): - 衣装の切り替え機能が不要な場合はデフォルトのまま - 高度な機能は後で学習する項目
ボーン構造の統合とリギング¶
ステップ 4-3: 衣装とアバターのボーン統合
ボーンウェイトの確認: 1. 衣装オブジェクトを選択 2. Inspector で 「Skinned Mesh Renderer」 コンポーネント確認 3. Root Bone がアバターのルートボーンを参照していることを確認
手動でのボーン参照設定(必要に応じて): 1. 衣装の 「Skinned Mesh Renderer」 を選択 2. 「Root Bone」 にアバターのRootボーンを設定 3. 「Bones」 配列が正しく設定されていることを確認
Marvelous Designer 2025のリギング機能
Avatar Riggerによる自動ウェイト設定: - MD2025では 「Avatar Rigger」 機能により体のボーンウェイトが衣装に自動コピー - 「EveryWear Toolkit」 で自動リトポロジーとリギングを実行 - Unityは最大8ジョイントまでサポート、MDで影響ジョイント数を指定可能
IKジョイントマッピング: - Daz 3D、Mixamo、Character Creator、MetaHumansに対応 - 肩、肘、手首、骨盤、膝、足首などの主要関節を自動認識 - より自然で滑らかな動作を実現
ウェイト転送時の注意点
- 脇の下や股間部分で不適切なボーンにマッピングされる場合がある
- アバターが標準Aポーズでない場合は特に注意が必要
- 必要に応じて事前にタイトフィットバージョンで作業後、最終版に置き換える
🧪 ステップ5: テストと品質確認¶
Scene View でのテスト¶
ステップ 5-1: Unity内でのテスト
見た目の確認: 1. Scene View でアバターを色々な角度から確認 2. 衣装が正しくアバターにフィットしているか確認 3. 不自然な貫通や浮きがないかチェック
Animation Controllerでの動作テスト(オプション): 1. 「Window」 → 「Animation」 → 「Animator」 2. 基本的な動作でアバターが正常に動くか確認
VRChat SDK Build & Test¶
ステップ 5-2: SDK内蔵テスト機能の使用
Build & Test の実行: 1. VRChat SDK Control Panel の 「Builder」 タブ 2. 「Build & Test」 をクリック 3. ビルドプロセスが開始されます
エラー確認と対処: - エラーが表示された場合は内容を確認 - よくあるエラー:ポリゴン数過多、マテリアル設定 - Console Window で詳細エラーを確認
テスト成功の確認
VRChatが起動し、ローカルテストワールドで衣装を着用したアバターが表示されれば成功です。
🎨 ステップ6: 最終調整と最適化¶
見た目の微調整¶
ステップ 6-1: マテリアルとテクスチャの調整
色と質感の調整: 1. 「Assets/Materials/」 内のマテリアルを選択 2. Inspector で以下を調整: - Albedo Color: 基本色の微調整 - Metallic: 金属感(通常は0) - Smoothness: 表面の滑らかさ - Normal Map: 凹凸感(高度な設定)
VRChat最適化: 1. 不要な高解像度テクスチャを削除 2. マテリアル数を最小限に抑制 3. VRChat推奨シェーダーの使用を検討
パフォーマンス最適化¶
ステップ 6-2: VRChat性能評価
Performance評価の確認: 1. VRChat SDK Control Panel でアバターを選択 2. 「Performance」 情報を確認: - Triangle Count: 20,000未満(PC)、7,500未満(Quest) - Material Count: 最小限に - Mesh Count: 統合可能であれば統合
最適化の実施: - 必要に応じてポリゴン数削減 - テクスチャサイズの調整 - 不要なボーンの削除
💾 ステップ7: プレファブ化と保存¶
完成アバターのプレファブ作成¶
ステップ 7-1: プレファブとして保存
プレファブの作成: 1. Hierarchyでアバター全体を選択 2. 「Assets/Prefabs/」 フォルダにドラッグ&ドロップ 3. プレファブ名: 「MyAvatar_withGarments」など分かりやすい名前
バージョン管理:
1. 異なるバリエーションごとに別プレファブを作成
2. 命名規則例:
- MyAvatar_Tshirt_v1
- MyAvatar_Casual_v1
- MyAvatar_Formal_v1
プロジェクトファイルの保存¶
ステップ 7-2: Unity プロジェクトの保存
シーンとプロジェクトの保存: 1. 「File」 → 「Save Scene」 で現在の作業を保存 2. 「File」 → 「Save Project」 でプロジェクト全体を保存 3. 定期的なバックアップを推奨
✅ 統合完了チェック¶
Unity統合完了チェックリスト
ファイル統合: - [ ] 元アバターFBXが正常にインポート済み - [ ] 衣装FBXが正常にインポート済み - [ ] テクスチャとマテリアルが適切に設定済み - [ ] フォルダ構造が整理されている
Unity設定: - [ ] アバターと衣装がシーン内で正しく表示 - [ ] VRChat Avatar Descriptorが設定済み - [ ] View Positionが適切に設定済み - [ ] ボーン構造が正しく統合されている
品質確認: - [ ] Build & Test でエラーがない - [ ] VRChat Performance評価が適切な範囲 - [ ] 衣装のフィット感が良好 - [ ] プレファブとして保存済み
🔧 トラブルシューティング¶
よくある統合問題¶
「衣装が表示されない」
対処法:
- マテリアル設定の確認:
- マテリアルが「Missing」になっていないか
-
Shader が適切に設定されているか
-
スケール問題:
- アバターと衣装のスケールが一致しているか
-
Transform のScale値を確認
-
インポート設定:
- FBXインポート時の設定を再確認
- 必要に応じて再インポート
「衣装がアバターと一緒に動かない」
対処法:
- ボーン設定の確認:
- Skinned Mesh Renderer のRoot Boneが正しく設定されているか
-
Bones配列がアバターのボーン構造を参照しているか
-
親子関係の確認:
- 衣装オブジェクトがアバターの子オブジェクトになっているか
- 階層構造が適切か
「Build & Test でエラーが出る」
対処法:
- Console確認:
- Window → General → Console でエラー詳細を確認
-
エラーメッセージに従って対処
-
VRChat SDK更新:
- VCCでSDKが最新版か確認
-
必要に応じて更新
-
アバター設定確認:
- Avatar Descriptor の設定を再確認
- 必須項目が全て設定されているか
🌟 次のステップ¶
Unity統合が完了しました!
制作した衣装がUnity内で正しく表示され、VRChat SDK3の設定も完了しています。
次の重要なステップ:
または、品質をさらに向上させたい場合:
📚 学習成果の確認¶
このガイドで習得したスキル¶
🔄 統合ワークフロー - Marvelous Designer → Unity の連携理解 - FBXファイルの適切な扱い方 - Unity プロジェクト構造の管理
⚙️ 技術スキル - VRChat SDK3 の基本設定 - Avatar Descriptor の設定方法 - ボーン構造とSkinned Mesh の理解
🎨 品質管理 - マテリアルとテクスチャの最適化 - VRChat Performance基準の理解 - プレファブ管理とバージョン管理
🧪 テストスキル - Unity Scene View でのテスト手法 - VRChat SDK Build & Test の活用 - エラー対処とデバッグ方法
Unity統合完了!
素晴らしい成果です!あなたが制作した衣装が、今やVRChatで使用できる実用的なアバターとなりました。次はいよいよVRChatでの実際の動作確認とアップロードです!
💡 応用と発展¶
統合技術の応用¶
複数衣装の管理: - 異なる衣装パターンのプレファブ作成 - 衣装切り替え機能の実装(上級) - レイヤード(重ね着)システム
品質向上のテクニック: - LOD(Level of Detail)の設定 - アニメーションオーバーライド - カスタムシェーダーの適用
これらの高度な技術は、基本をマスターしてからの挑戦項目です!