確定申告完全ガイド (2025年版)¶
給与所得のある会社員が、副業・投資・ふるさと納税を含む確定申告を「完全無料(DIY)」で行うための実践手順書です。
本書の前提・対象者 (Scope)¶
以下の条件に当てはまる方を対象としています。
- 属性: 会社員(給与所得) + 副業(事業所得/青色申告) + 投資(特定口座/損益通算)。
- 方針: 有料ソフト(freee等)の課金プランを使わず、国税庁「作成コーナー」で完結させます (国税庁 e-Taxのメリット)。
- 納付: キャッシュレス(PayPay等)で手数料無料で支払います (国税庁 スマホアプリ納付)。
環境モデル (Sample Case)¶
本書では以下の環境を例に解説しますが、適宜ご自身の環境に読み替えてください。
| 項目 | 本書のモデル環境 | 備考 |
|---|---|---|
| 副業口座 | みんなの銀行 | ネット銀行の明細利用を想定 |
| 固定資産 | PC (約32万円) | 30万円超の資産(4年償却)の例 (国税庁 No.2100) |
| 投資口座 | マネックス・SBI・楽天 | 複数口座の損益通算を行う例 |
| 会計ツール | Google Sheets | 無料のスプレッドシートで集計 |
1. 事前準備(申告環境)¶
e-Tax(電子申告)を利用するための環境を整えます。
必須環境の確認¶
- マイナンバーカード: e-Taxでの本人認証に必須です。署名用パスワード(6-16桁)と利用者証明用パスワード(4桁)が有効であることを確認してください (国税庁 e-Tax利用の事前準備)。
- スマートフォン: マイナポータルアプリに対応した機種が必要です (マイナポータル 動作環境)。
- PC: インターネット接続環境(推奨)。画面が大きく入力ミスを防ぎやすいため、PCでの作成を推奨します (国税庁 作成コーナー推奨環境)。
- 還付金受取口座: 本人名義の銀行口座情報を用意してください(還付が発生した場合の振込先として必須です)。
- 青色申告承認申請書: freee等を通じて税務署へ提出済みであることを確認してください。提出していない場合、自動的に「白色申告」となります (国税庁 No.2070)。
アカウント連携・準備¶
- 利用者識別番号の確認: マイナンバーカード方式であれば、初回ログイン時に自動取得・紐付けが可能です (e-Tax 利用者識別番号の取得)。
- マイナポータル連携:
- 「e-私書箱」と連携することで、ふるさと納税・株式取引データを自動でe-Taxに取り込めます (マイナポータル 確定申告の事前準備)。
- 今回のAmazonふるさと納税はXML未対応のため手入力となりますが、証券口座等は連携しておくとスムーズです。
2. 必要書類の準備 (網羅リスト)¶
申告書作成の際に数字を転記するための「証拠書類」を手元に集めます。
収入証明¶
- [給与] 源泉徴収票: 令和7年分(2025年分)。定額減税(所得税3万円・住民税1万円/人)が摘要欄等に記載されているか確認してください (国税庁 定額減税)。
- [副業] 銀行取引明細: 「みんなの銀行」等の入出金明細。事業用口座の1年分の動きを集計のために用意します。
- [投資] 年間取引報告書: マネックス証券、SBI証券、楽天証券の3社分。「特定口座年間取引報告書」のXMLデータまたはPDF/紙を用意してください (国税庁 No.1476)。
経費・控除証明¶
- [経費] PC購入証憑: PC(Frontier等)の領収書・購入明細(約32万円)。減価償却費の計算根拠として保存が必要です (国税庁 No.2100)。
- ふるさと納税(寄附金受領証明書): Amazonでの寄附(徳島・京都・山梨・宮城など)。
- 基本は、自治体から送付された紙の証明書を保管・使用します (国税庁 No.1155)。
- 便利ツール: 「自治体マイページ」等のアプリでXML集計が可能な自治体は、XMLを利用しても構いません (自治体マイページ)。
- 注意: Amazon経由の寄附は連携が不完全な場合(調査回答が必要など)があるため、XML発行できない分は「紙」で補完してください。
- 重要: 確定申告を行うと「ワンストップ特例」は全て無効になります。全件申告書に記載してください (国税庁 ワンストップ特例)。
- 社会保険料控除証明書: 国民年金や国民健康保険を支払った場合の証明書(給与天引き以外にある場合)。
- 医療費控除: 年間10万円以下等の場合、対象外のため準備不要です (国税庁 No.1120)。
3. 事前計算・集計¶
e-Taxに入力する前に、副業の収支と減価償却費を確定させます。
A. 副業の集計(DIY: スプレッドシート等)¶
自分で帳簿(複式簿記形式)を作成し、決算書の数字を固めます。
-
固定資産(PC)の減価償却費計算:
- 取得価額30万円以上のため、「少額減価償却資産の特例」ではなく原則通り4年で定額償却します (国税庁 No.2100)。
- 計算式: 取得価額 ÷ 4年 × (当年の使用月数 ÷ 12) × 事業供用割合。
- Action: スプレッドシート等で今年の経費計上額を算出してください。
-
日々の取引集計:
- Google Sheets等で「売上」と「経費(消耗品費、通信費等)」を集計します。
- 全ての取引は複式簿記(借方・貸方)で記録し、総勘定元帳として保存できる状態にしておきます(青色申告の要件)(国税庁 No.2070)。
-
決算書の作成(e-Tax入力):
- 国税庁 確定申告書等作成コーナーへアクセスし、「決算書・収支内訳書」を作成します。
- 集計した「売上」「経費」「減価償却費」を入力し、青色申告特別控除後の所得金額を確定させます。
B. 確定申告書の作成¶
決算書の後、続けて「所得税の確定申告書」を作成します。
- 給与所得: 源泉徴収票の通りに入力(またはXML連携)。
- 事業所得: 先ほど作成した決算書のデータが引き継がれます。
- 寄附金控除(ふるさと納税):
- 「寄附金控除」欄から入力します。
- 手元の「寄附金受領証明書」を見ながら、寄附年月日・自治体名・金額・寄附金の種類(「ふるさと納税」を選択)を入力してください (作成コーナー操作ガイド)。
- 株式等の譲渡所得等:
- 「株式等の譲渡所得等」および「配当所得」から入力します。
- 特定口座(源泉あり)でも、損失繰越や損益通算のために申告を選択します (国税庁 No.1476)。
- NISA口座: 非課税口座のため損益通算は対象外です。入力しないでください (国税庁 NISA)。
4. 住民税の徴収方法(最重要)¶
副業が会社に知られないよう、住民税の納付方法を指定します。
- 申告書作成フローの終盤にある「住民税・事業税に関する事項」を開きます。
- 「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の項目で、必ず「自分で納付」を選択してください (国税庁 住民税に関する事項)。
- これにより、副業分の住民税通知が自宅に届き、会社の給与天引きには合算されません。
5. 申告と納税¶
送信¶
- マイナンバーカードを用いてe-Taxで送信します。
- 送信後、「受信通知」を確認し、受付完了となっていることを必ず確認してください (e-Tax メッセージボックス)。
納税(PayPay / スマホアプリ納付)¶
- 納付期限は3月15日です (国税庁 申告・納付期限)。
- 支払方法: 「スマホアプリ納付」を選択し、PayPay等で支払います。
- 手数料: 0円です(クレジットカード納付は約0.8%の手数料がかかるため非推奨)(国税庁 スマホアプリ納付Q&A)。
- e-Taxの受信通知や「納付区分番号通知」から専用サイトへ遷移して決済します。
- Note: 領収書は発行されません。「納付手続完了」画面のスクリーンショットやPDFを必ず保存してください。
6. 保存書類(保存義務)¶
税務署への提出は省略できますが、自宅での保存義務があります。
- 保存期間: 原則7年間(欠損金の繰越控除等がある場合は最長10年)(国税庁 No.2070 帳簿保存)。
- 保存すべきもの:
- 確定申告書・決算書の控え(PDF保存で可)。
- 寄附金受領証明書(原本)。
- 特定口座年間取引報告書(電子データまたは書面)。
- 経費の領収書・請求書(PC購入時の証憑など全部)。
- 帳簿(総勘定元帳、仕訳帳など)。
- 納付の証憑(PayPayの完了画面等)。
以上で、完全無料・DIYによる確定申告は完了です。