DCマッチング拠出(企業型DCの上乗せ)
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している従業員が、会社拠出とは別に自分の給与から上乗せ拠出できる制度です。会社の規約でマッチング拠出が認められている場合のみ利用できます。
対象・要件
- 企業型DC加入者であること
- 事業主の規約でマッチング拠出が許可されていること
拠出上限
- 会社拠出 + 本人拠出の合計:月5.5万円(年66万円)以内
- 本人拠出は会社拠出額を超えない(現行制度)
- 例:会社拠出2万円なら、本人拠出は最大2万円
税制優遇
- 拠出時:全額が「小規模企業共済等掛金控除」で所得控除
- 運用時:運用益は非課税
- 受取時:
- 年金形式:公的年金等控除
- 一時金:退職所得控除
制約・注意
- マッチング拠出実施中は iDeCo と併用不可
- 原則60歳まで引き出し不可(資金拘束)
- 会社の運用商品ラインナップ・手数料の影響を受ける
実務のチェックポイント
- 会社規約でマッチング拠出が許可されているか
- 運用商品の品揃え・信託報酬(手数料)水準
- 税制優遇と資金拘束(流動性)のバランス
計算根拠
- 節税効果(概算):
節税効果 ≒ 本人拠出額 × (適用される所得税率 + 住民税率10%)
- 所得税率は速算表(5%〜45%)の限界税率を想定(復興特別所得税は簡易モデルでは未考慮)
- 本人拠出は原則全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象(制度上限・規約条件あり)
可視化(本人拠出と節税効果の関係)
例として、適用される限界税率が30%(所得税20% + 住民税10%)の場合の年間ベースの関係を示します。横軸は本人拠出額(万円/年)、縦軸は概算の節税効果(万円/年)。
計算例
前提 - 本人拠出: 月2万円(年24万円) - 適用される所得税率: 20%、住民税率: 10%
概算節税効果 - 所得税軽減: 24万円 × 20% = 4.8万円 - 住民税軽減: 24万円 × 10% = 2.4万円 - 合計: 7.2万円(実質負担は24万円 − 7.2万円 = 16.8万円)
よくある質問
- Q. 会社がマッチング拠出を認めていない場合は?
- A. iDeCoの活用を検討(併用不可の制約に注意)
- Q. 退職時の受取はどうすべき?
- A. 勤続年数や他の退職金との合算も踏まえ、退職所得控除枠との兼ね合いで一時金/年金を検討